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【ネタバレ注意】週刊少年ジャンプを中心に、ふれた作品の感想をたくわえるブログ。

コンビニ人間

村田沙耶香、2018、文藝春秋
第155回芥川賞受賞作品。芥川賞は「純文学の新人に与えられる賞」らしい。

最初の「音」の描写が印象的。今までコンビニに入って意識したことなんて無かったが、文章を読むとはっきりと想像できる。 古倉さんは、なろう?ラノベ?で揶揄されてる「また俺なんかやっちゃいました?」の現実的なバージョンだなあと思った。 彼女自身は合理的に行動しているだけなのだけれど。

初めてタイトルを見たときにどんな話だろうと興味を持ったが、まさかその通りコンビニだけで出来上がった人間の物語だとは思わなかった。 古倉さんの年齢や生い立ちなど、社会での立ち位置が徐々に明らかになる過程はゾクゾクした。 冒頭を読んでる時は古倉さんは20代のフリーターだと思っていたし、白羽さんも最初はそうだと思っていた。 ファンタジー要素は無いので映像化自体はできるけど、その辺りの表現は難しそう。 古倉さんの喋り方の変遷とか「!」がどの程度の勢いなのかとかも気になる。

あらすじが書いてあることに気付いたのは読了後だったが、先に見てたら逆に興味が薄れてたかもしれない。 タイトルが指すのはコンビニバイト歴18年のことだと早合点し、古倉さんの年齢に驚くこともなく、白羽さんが序盤で登場して婚活の話が繰り広げられるだと思っただろう。