感想SPACE

【ネタバレ注意】週刊少年ジャンプを中心に、ふれた作品の感想をたくわえるブログ。

数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話

結城浩、2019、SBクリエイティブ株式会社
《例示は理解の試金石》
ものを教えることの難しさ、教える人と学ぶ人が歩調を合わせて進むための対話が描かれています。 教えるという機会は誰にでも訪れるからこそ、色んな人に読んでもらいたい本です。

今巻は共感や納得できることがとても多いです。

ノナちゃんの気持ちはよく分かる。 暗記じゃなくて理解しよう、と繰り返されると暗記自体がダメなことのように思えたり、何でも聞いていいと言われても何も聞けなかったりします。 「何がわからないか、わからない」経験もたくさんあります。 自分のことが分かるのは自分自身しかいないのかもしれないけれど、他者に伝えられるほど自分の状態を分かっているかは別問題。 また、テトラちゃんが分析した「はい」と答えるときの様々な気持ちも、確かにどの気持ちも理解できました。

伝える側として「当たり前に見えるから何て言えばいいか分からない」ことはよくあります。 「僕」が早口の原因を自覚する場面は、それまで何となくの違和感があったのでそこで腑に落ちました。 自分も早口になるときは、相手のことよりも自分が伝えきることの方を優先しているときだと思います。

「僕」のノナちゃんへの注意事項は、正しいけれど数が多くて、「できる人」の要求だと感じました。 ノナちゃん視点で読んでいたから、和ませてくれるユーリがいないときつかったかも。 もし学ぶ側だとしたら、全て同時並行は大変なので2つくらいピックアップしてほしいです。 ただ、これは先を急いで読んでしまったから感じた部分もあると思う。 一つ一つの要求を消化する前に読み進めていったから。

一番好きなエピグラフは、「無限の果ては見えないのに、どうして無限と言えるのか。」(一章)です。