伊藤計劃、2008年、KADOKAWA
伊藤計劃の4つの長編作品のうちの1つ。
今まで「メタルギア」シリーズをプレイした経験はほぼ0。昔一度だけ体験版をやったような記憶があるのみ。
「何とか・スネーク」という名前は確かに何種類か目にしたことがあって、何がどう違うのか不思議に思っていた。
まさかクローン繋がりだったとは。
それにしても「固体」「液体」を名前にするのはどういう意図なんだろう。
「ザ・ボス」と「ビッグボス」が別人だと気付くまでには少し時間がかかった。
メタルギアシリーズについては単純にミリタリーものだと思っていたので、世界観の根底にバイオテクノロジーがあることに驚いた。 同時に、それなら伊藤計劃がノベライズを担うのも頷けると思った。 実際SF部分の描写で『虐殺器官』や『ハーモニー』に通ずるものを感じる。
迷彩服にちなんで「グリーンカラー」と表現するのが上手い。 オリジナルの言い回しかどうかは分からない。どこかで誰かが言って既に定着していそうと思えるくらいには上手い。
この小説はまるまる「メタルギア4」の内容なんだろうか。つまり、補足説明分を除けば過去作のストーリーは含まれていない?
サニーと仲良くなった子がゲームでは明かされているのか気になる。
あと地味に章タイトルの「Sun」が何を意味しているのか解っていない。
この物語(サーガ)がゲームに落とし込まれていたら確かにめちゃくちゃ面白そうだと思った。
小島秀夫監督が注目を集めるのも理解できる。
『DEATH STRANDING』の発売時も独自のゲーム性で話題になっていたように思うが、そのゲーム性も物語と不可分なんだろうなと想像する。
本編を読んで伊藤計劃が執筆することに納得していたので、さらに本人がシリーズの大ファンだったことには驚いた。
言われてみれば、過去作に当たるであろう話まで丁寧に拾われているなとは感じていた。
しかも小島秀夫監督の語りから察するに並大抵のファンではない。
作家になり小島監督と懇意にしていたことも意外なエピソード。
ノベライズの第2弾が読めないことだけが残念です。