(訳)大島かおり、2001年、岩波書店 〈原作:"Momo"、ミヒャエル・エンデ、1973年〉 人間に時間を節約させる「灰色の男たち」から時間を取り戻すお話。
最近テレビで紹介しているのを見かけて読んでみた。 テレビでの紹介のされ方やパラパラと中を見た感じ、さらっと読める絵本のような物語かと思っていたが、実際はかなり読み応えがあった。 せかせか働いて効率を追い求めることこそが善だと思わされていたり、豊かになる一方で不幸せにもなっていることに本人も気付いていつつも行動を変えられなかったりと風刺が利いている。
ひたすら真っ当にモモやその友達を描写しておきながらの、最後のカシオペイヤは粋だった。 フィクションですよと。 突然読者に言及して、しかもどんな「文字」かは文章には含めず挿絵だけで語る。 かと思えば、直後にあとがきで不思議なお話をしている。 本当だろうか。 本編と地続きのような雰囲気。
原作が書かれたのがほんの50年前というのが少し意外。 産業革命期に世間の風潮に反発して生まれた物語かと思ってた。全然戦後だった。