森見登美彦、2005年、太田出版
昔アニメ版を見たけれど、キャラクターと大ざっぱな構造以外は忘れてました。
地の文が特徴的な語り口なのに、読みやすいことこの上ない。リズムなのかな。パワーを感じる。
1話ごとの反復が気持ちいい。同じ内容でも現れるタイミングが違ったりして面白い。
特に「猥褻非猥褻の区別なく」という言い回しが好きだ。
仮に被害の大半が猥褻だとしても、こう言えば「非猥褻が狙われた」「非猥褻が重要だったのだ」と感じる気がする。
そういう見栄の張り方をこの男はする。
最終章はこんなにいい話だったのかと驚いた。
自分の学生生活に色々な可能性があったことに思い至り、嫌なヤツだが唯一の友人である小津を認める。
そして最後の最後、第三話までのお決まりと反転して終わるのも気が利いている。
いくら構造的に問題ないとはいえ、「アニメではサークルの数を増やして11話に膨らませよう」と考えた人は勇気があるなと思った。 独特の雰囲気を再現するのがそもそも難しそうだし、毎話ごとの「お約束」に縛られれたりと制約も多いだろうから。