感想SPACE

【ネタバレ注意】週刊少年ジャンプを中心に、ふれた作品の感想をたくわえるブログ。

小説 ほしのこえ

(原作)新海誠(著)大場惑、2016、株式会社KADOKAWA
原作アニメーションとコミカライズ版は見た後です。

目次からして2人の時間差が表れていて切ない。
この小説ではノボルの視点もたくさん描かれていて想像が広がる。 高校時代のノボルがミカコに対して羨ましさや疎ましさを持っていたのは意外だった。 高校生らしい日常を伝えるノボルと、深刻さを増すミカコの文面にギャップが生まれている部分は少し苦しくなる。 現実を受け入れて前に進むために、心を閉ざすことにしたノボル。

月面や太陽系にいる間は割と頻繁にメールできてたんだね。 考えてみれば、太陽系の中ならば何光年と離れているわけではない。 8年かかって届いたメールが、ノイズで大事なところを読めなくなるなんて。大いにあり得そうだからこそ悲しい。 亜高速移動によって2人の間にも年齢差が生まれる。メールの時間差以外にもズレが生じる。
2人のメールが転校生との文通に喩えられていた。 メールの間隔があいていくのは強制的であるという点で、文通とは決定的で残酷な差があることが意識させられた。

タルシアンとの戦闘は分が悪すぎて、ノボルがリシテアに追いついたときには壊滅していた…みたいなバッドエンドもあり得るんじゃないかと思った。数は正義。サトミは死んでしまうかと思っていたので安堵。
ノボルが宇宙へ向かい、メールの往復が早くなったところでもう感動した。 「わたしはここにいるよ」は再会の文面として出てきたかーそうきたかー。 再会したら2人とも感情が爆発するんじゃないかと思っていたけど、照れたりして静かなシーンになった。 よかったよ〜2人にとって落ち着いたハッピーエンドで。