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【ネタバレ注意】週刊少年ジャンプを中心に、ふれた作品の感想をたくわえるブログ。

伝説シリーズ・四国ゲーム編

西尾維新、2013-2015年、講談社
シリーズ第1巻『悲鳴伝』に続く四国ゲーム編。 昔、この四国編(の途中まで)を読んで、お遍路に興味を持った覚えがあります(未だに行けていない)。

『悲報伝』まで読んで止まっていたけど、記憶が怪しいので一応『悲痛伝』から読み返す。 覚えていたことといえば、證がすぐ死に、頼りになるお姉さんも最後は死に、大歩危でビームをぶっ放され、桂浜で海から『悲恋』が現れることくらい。 あと、どこかで地濃鑿が現れること。

悲痛伝

2013年
「魔法は高度に発達した科学と区別がつかない」というフレーズはとても印象に残ってた。 證がすぐに脱落したことは改めて見ても悔やまれる。
『パンプキン』のイメージが記憶と違う。頼りになる年上のお姉さんみたいな印象だった。第2の犬藤剣个みたいな。 けれど、アンニュイで、不敵で、にやにやしている。最初はこんな感じだったのか。
もはや死んだものと扱われていた『ストローク』が返り討ちにして終わり。 気になる引きだ(『ストローク』の結末を覚えていない(そもそも彼女の結末を知らなかった))。

『悲惨伝』

2013年
足を揉まれながら空々と話したことで、鋼矢が不敵でない普通のお姉さんになってきた。 そういや、酒々井かんづめっていたな。徳島はこういう方言なんだろうか。 地濃ちゃんって、初登場の瞬間からこんなにぽんこつだったっけ(笑) 言い訳が全部長いし、受け答えが大体うざいw第三者としてはただ笑える。
記憶違い発見。大歩危で下方からぶっ放されたのはビーム砲ではなく鉄砲水だった。 そしてビーム砲は敵が撃ったものではなく、『パンプキン』が敵に対して撃ったものだった。 ついでに地図を見てみると、吉野川河口と大歩危は結構離れている。吉野川長い。
空々空が唯一心を許したようにも見える地濃鑿はすごい。

『悲報伝』

2013年
桂浜って、高知のあの湾曲した部分の一エリアくらいの認識だったけど、地図で確かめると全然違うな。 もっと局所的で、どちらかというと湾の入り口。高知の広さを舐めてました。
『悲恋』は真南から来たのだろうと思っていたけど、夕日をバックにしてるということは違う? あと、アンドロイドのようにつぎはぎっぽい見た目をイメージしてたけど、「人造人間」ならほぼ人間と同等のビジュアルをイメージした方が近いのかな。 「継ぎ目や螺子があるわけでもなく」とちゃんと本文に書いてあった。不気味の谷に当たるくらいには似ているとも。
『スクラップ』の言葉は土佐弁?かんづめよりもさらに訛りが強い。かんづめの訛りは割と意味を理解しやすかったけど、こちらは雰囲気で読んでいる。
春秋戦争まわりは全く記憶にないと言っていい。 この四国編は魔法少女の名前や空々たちの位置などをメモしながら読んでいるんですが、両陣営の魔法少女が次々と死んでいくのを記録するのがかなり辛いです。 双子の終わりも鋼矢の夢の終わりも切ない。………あれ、『パンプキン』生きてるじゃん!
あとがきで「いっぱい魔法少女が書けて楽しかったです」と言っていて、初めてこの作者に対して「ひでー」と思ったかもしれん。人の心は無いんか?

『悲業伝』

2014年
ずっと引っ張っていた『ストローク』がようやく登場。 まるまる三章分、これまでのおさらいというか手袋鵬喜の自己紹介。それどころか半分を過ぎても主人公が出ない。 ところで、なぜこのシリーズは普通の鉤括弧ではなく二重鉤括弧を多用するんだろう。 コードネーム等は固有名詞だからと納得していたけれど、『生活』や『びくっ』まで括られているとその意図が分からない。
20代後半の氷上とそんなに変わらないくらい若くして課長を務める酸ヶ湯が、飢皿木先生と同期なのか。 何となく飢皿木先生は40、50代のベテラン(細身)のイメージだったけれど、左博士が30代前半なら同世代である方が妥当か。 というか、左博士も40代くらいのイメージだった。
手袋鵬喜については、何となく生き残っちゃったから話の流れでスポットが当てられたものかと思っていたけれど、ファーストネームに意味があるとなると最初からキーパーソンとして描かれていたのか?
『焚き火』の火力も相当だ。タイマンで戦うには役立つけどマップ破壊はできないくらいだと思っていた。 主人公サイドが全然出てこねえ。空々空はカッコよさより不気味な印象が強いけど、それでも登場を待ち遠しく思う。
チーム『白夜』の面々の本名を一挙公開。 どちらかと言うと、名前から「普通」を感じる。まともな人物ということを演出してるんだろうか。 「誉田統子」なんてまさに。「杵槻鋼矢」も同様か。下の名前に関しては「四子って何だ?」と思うくらい。
『スペース』が大人だ。『写し取り』もようやく本領発揮。 今巻は双方互いに死亡者ゼロという、シリーズの中では異色の巻と言える。 正直、氷上は最後死んでしまうんじゃないかと思ってヒヤヒヤした。空々は氷上に対してもヒーローのようなタイミングで登場。 第9話あたりで察したけど、この本で四国編終わるんじゃないんかい!

『悲録伝』

2015年
目次を見る限り、今度こそ四国ゲームが終わるらしい。 「復習をしよう」から始まったので「毎巻ご丁寧におさらいしてくれるな〜」と思っていたら、その次に「復讐をしよう」が来てやられた。 その後も各メンバーが続いていくとまでは思わなかったけれど。竝生も元気そうだ。 地濃鑿は「腹痛」w 見ようによっては空々ハーレム。幼児からバツイチまで。阿良々木ハーレムより幅が広い。
魔法少女のコスプレをした20代後半のクールビューティーが女子高生にしてやられている。 なるほどー、『魔法』は異星の兵器。 パーティーメンバーには死んでほしくないな〜。地濃鑿なんか『混物語』でも元気そうだったし、と思ったけどあれは死人ともコラボするんだった。
第7話でついに誰か死ぬ。今まで『不死』で生き返ってきたから、宣言しなければならない。 どこかであるんじゃないかと期待していた魔法少女たちの名前についての話。チーム『白夜』の「S」統一に気付いてなかった。 「ス」が多いとは思ったが、「シャトル」が当てはまらないから結局法則はないものとしていた。
第8話冒頭で「第二の死者が生まれる」と言っておいて誰も死んでないやんけ!と思っていたがそれはミスリードで、文字通りの出来事が起こった。 魔法少女名にちゃんと語源というか由来があったけど、読者にすれば無いようなもん(笑) 「わかるか、そんなの」って言ってる通り。火星語がマイナー言語を基にしたとかでもなければ推測できんわい。 『憎悪』は名も無き研修生の魔法だった。
『魔女』の資格は確かに納得できるけど、直後の展開よ。 『白夜』の面々に資格が無い理由がそんなことだとは思わなかった。まさかの生々しさを帯びてくる。 今までとは別の意味で話が重い。 空々マジか。地球を倒すために純潔を貫く。無感情の少年兵とすれば変ではないのかな? とはいえ、誰が『究極魔法』を受け継ぐのが一番いいだろう→僕だ→じゃあ僕が受け継ごう、くらい躊躇が無い。
最後まで生き残ったメンバーはこの後も登場してくれないかなと期待はしていたが、全員味方になるのは予想を超えてきた。 『スパート』はあの捨て台詞があったから絶対どこかで殺し合うと思っていた。
最後に『火星語』の解説まで載ってる。コードネームの方はだいぶ皮肉混じりですね。 「カーテン」=「こっち」なの?(笑)「天才」5つもそれはそれで適当感あるな。 へー、三人称多視点はこれが初めて。確かに何となく読み味が違った。

本来は『悲痛伝』だけで終わるはずだったという言葉が全く信じられない。 ずっと、四国編は『悲業伝』までの4冊(各県1冊)だと思っていた。それでも収まってなかった。 10巻で終わりだというのは見えているので、長編があと1つか2つだろうか。 地球を倒したときに英雄は普通の少年になっているのか。
この四国編はビジュアルとして見たい場面と見たくない場面が多すぎる~。 春秋戦争は凄惨。サイズが合ってない大人2人のコスチューム姿は絶対に面白い。 後半の氷上はもはや癒しキャラ。空々に対する氷上のガチなのか分からん感じも見てみたい。